彼女の本日の予定は「正社員就職支援GOUPプログラム」と歯医者の通院だ。
「正社員就職支援GOUPプログラム」は厚生労働省労働局が主催する非正規雇用者の就活支援プログラムだ。本日4月26日9時より開始。およそ約1か月間のプログラムである。
もう一つの歯医者。歯医者といっても歯の治療ではない。睡眠時無呼吸症候群の症状改善のためのマウスピースを作るためだ。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法はCPAP治療が有名だ。
先月、彼女が入院検査を受けたところ、無呼吸の症状は見受けられるが、CPAP治療を要する数字基準には全く該当しないとのことだった。
診断結果をきいた彼女は、とりあえずホッとした。
今後の治療について担当医からマウスピースによる治療方法があるがどうか?との提案がった。
検査入院で3万円も費用がかかったばかり。無職なのに痛かった。追加の出費はもっともっと痛い。
とはいえ睡眠障害は4年ほど前から長期化している。事態はかなり深刻だ。
睡眠薬を服用しているが、日中の眠気はかなりのものがある。
背に腹は代えられない。ダメでもともと。乗りかかった船だし、えいっとばかりに彼女は承諾した。彼女は案外決断が早い。
ということで歯医者の話題から。
本日、受診をしたところ、彼女の担当女医からマウスピースを作るまえに、歯石の除去や虫歯があれば治療をしたほうがよいと勧められた。「どうしますか?」と女医さん。
専門の医師がそういう以上、指示に従ったほうが良いかもと彼女。
判断は早いのだが、権威に弱い性質である。
レントゲンまで取ったが検査の結果、虫歯はなかった。しかし以前、治療した虫歯治療の詰め物は代えたほうがいいとのこと。
医者が言うならしょうがない。次回の受診予約は5月7日で歯石取りをするとのこと。
このペースだとマウスピースが出来るまで数か月はかかりそう。彼女は長丁場を覚悟した。
さて、歯医者受診中に不意に彼女の携帯が鳴った。
一度治療を中断してもらい、応答したところ、先週金曜日に着信が一度だけあった派遣会社からだった。
あれ!?もしかして採用なのかな?、連絡期限切れてるのにわざわざ連絡しないよねと思いながら相手の言葉に集中した。
非常に丁寧な挨拶やら前置きをした挙句、結論は不採用だ。
・・・・・
そんな連絡ならしなくてもいいのにと彼女は思った。それにしても丁寧な対応には感心する。彼女も丁寧に対応にお礼を伝えて電話を切った。
不採用の連絡くらいメールで済ませればいいと思う。しかしその会社には何か規則やポリシーがあるのだろうから担当者に文句を言っては気の毒だ。
求職するほうも大変だが、採用する側も大変だなと彼女は想像した。
大分前置きが長くなった。ここから本題である「正社員就職支援GOUPプログラム」に参加した感想である。
結論からいう。
参加してよかった!
参加する前は、気が重いだの緊急事態宣言なのに集合するのはおかしいとか、不満たらたらだったのに、ずいぶんな変わりようだ。
プログラムは9時からのスタート。冒頭1時間はオリエンテーション。簡単なプログラムの説明だ。
重要な話だとは思うが退屈過ぎる。こんな話はメールで伝えられる。ZOOMだっていい。わざわざ集合する必要もない。彼女は内心イライラした。
ちなみに主催者である労働局がストップと言わないから、緊急事態宣言下でも集合形式は予定通りの実施になったとのこと。もしかして労働局はプログラムのこと忘れているんじゃないかな?と少し思った。
ちなみに、プログラムの開催地は彼女の自宅から地下鉄に乗って一時間の距離。懸念していた地下鉄の混雑具合は、通常時のラッシュアワーと比較すると遥かに余裕があった。
不謹慎化もしれないが緊急事態宣言のお陰である。
それにしても電車には雑多な人たちが乗っている。赤の他人と接触するので、彼女は電車が苦手だ。
本題に戻ろう。
退屈なオリエンテーションが時間割通りに終了。10分の休憩をはさんで再開。
休憩後は4名ごとの3グループに分かれた。各グループに1名のキャリアカウンセラーがついた。自己紹介&個別のカウンセリングタイムの始まりだ。
個別のカウンセリングなので、空き時間はキャリアカードという書類2枚を記入するように言われた。キャリアカードは簡単にいうと職務経歴書の下書きみたいなものだ。
労働局が超推しているツールらしい。ふーん。
さてさて自己紹介タイムの順番は彼女からになってしまった。どうせ全員が行うので順番なんかどうでもいい。とはいえ打順一番に彼女は若干緊張した。
数秒の間に頭の中で何をいうかを瞬時に組み立てる。
なにしろ彼女は毎日のように面接対応や経歴書作成をしている。自己分析を毎日ブログに書いている。常に過去の自分と向き合っている。
面接を想定した自己紹介に、彼女は案外すらすらと対応できてしまった。
流石である。彼女自身の自己評価だ。
なにしろキャリアカウンセラー氏にも、ものすごく褒められてしまった。とても面はゆい。
謙遜してみせたが、少し得意だった。
ちなみに別記事に書いた「とうきょう仕事センター」のキャリアカウンセラー氏とは全くの別人だ。今回のプログラムの主催は東京都ではなく厚生労働省だし。
就職氷河期が社会問題化したので、公的機関はいろいろな取組を行っているのだなーと彼女。
彼女はこのキャリアカウンセラー氏に信頼感と好感を持った。
年齢は彼女よりもはるかに年上で61歳とのこと。白髪を除けば少し日に焼けた容貌は若々しい。ゴルフが趣味だといっていた。なるほどまだ4月なのに日に焼けている。キャディーの仕事をすることもあるらしい。ちなみにキャリアカウンセラーはフリーランスのお仕事らしい。
「正社員就職支援GOUPプログラム」の評価が180度反転したのは、このゴルファー氏の対応が、とても素晴らしかったからだ。
ところで、
彼女以外のメンバーが3名。それぞれの自己紹介を聴いていて、いろいろな人がいるなーと彼女は思った。
ちなみにせっかくのご縁なので、メンバーの名前と紹介の内容はノートにメモしながら聞いた。意外と彼女はとても真面目だ。
2番目の男性はとにかく話が長い。いつになったら終わるんだいっ!と突っ込みたくなるほど長かった。しかも中身がよくわからんw
それでも彼女は真面目に聞いているフリをした。彼女の大人力は中々のものがある。
ゴルファー氏も一生懸命きいている。
でも内心は彼女と同じことを考えているはずだ。いや他のメンバー2名も同じ意見のハズだ。
2番手の彼氏の鈍感力はかなり凄い。
3番目の女性は、見た目からは想像できないほど冗舌で明るい人だった。
そりゃ、一言も話しをしないのに、明るく見えるのもおかしな話ではある。
彼女は同姓であるこもとあり、3番の彼女に共感を持った。
最後は4番目男性氏。
寡黙な印象の男性氏は、見た目通りに寡黙な印象の人で、ちょっぴり暗い印象だ。
人間見た目が9割という書籍があるのだが、案外正しい。
一通り自己紹介が終了し、個別カウンセリングのスタートだ。
お察しの通り、自己紹介先頭バッターの彼女から同じくスタートだ。
キャリアカウンセラーのゴルファー氏は、とても話しやすい雰囲気をつくってくれる。
アドバイスをするときも、彼女の様子を伺い伺い、押しつけがましくならないよう、彼女の意思を尊重しようとする姿勢を滲ませながら、語ってくれる。
彼女が、これまで誰にも話せなかった退職の本当の理由を伝えたときにも、とても落ち着いた様子で、真剣にそして適度な共感を示してくれた。
適格なアドバイスももらえた。
これまでたった独りで求職活動の重圧に耐えてきた彼女は、話をきいてもらえて心が軽くなった。
そうしたとたん、涙が滲んでしまった。
そういえば、2年前にもなかなか異動先が決まらず焦っていたときに泣いたことがある。
泣くのはそれ以来だ。
不意の涙に言葉が詰まってしまった。涙を流さないように一生懸命にこらえた。
でもちょっと涙が出てしまった。
泣くと感情が浄化されるという話を聞いたことがある。
人前で泣くのは恥ずかしいが、生理現象なので仕方がない。
ゴルファー氏はそんな彼女の様子を察して、優しくアドバイスを続けてくれた。
最後の最後、彼女は思い切った質問をしてみた。
彼女の第一印象をどう思うか思い切って尋ねてみた。
人間年齢を重ねると第三者の率直な意見を聴く機会がなくなる。
第三者の視点ってとてもじゅうようだ。
折角のよい機会なので思い切って聞いてみた。
思いがけない質問に、ゴルファー氏はしばらく考えた。
そして慎重に言葉を選びながら、教えてくれた。
「自身がなさそうな口調に聞こえます。声が震えるのは緊張のせいですか?」
長所を褒めてくれると勝手に思い込んでいた彼女は、思いがけない指摘にはっとする。
実は彼女は発声障害だ。
専門的な話なのだが発声障害には二種類ある。痙攣性と機能性だ。
彼女は後者のほう。
痙攣性なら治療方法がある。しかし機能性は原因自体が不明なので、治療法がないらしい。
かつて東大病院に通院し、いろいろ治療を受けたが根本的には改善しなかったので諦めた。
念のために付言すると、当時の症状に比較すると、はるかに改善はしている。
睡眠障害に発声障害。
2つの障害を彼女はかかえている。とてもやっかいなのだが、それだけ彼女の器が大きいことの証拠かもしれない。
障害と書いたが、彼女はいわゆる障がい者ではない。念のため。
彼女の説明にゴルファー氏は理解を示しつつアドバイスをくれた。
「今回、30分話をしたので貴女の人柄の良さを私は理解できた。しかし短時間だったら伝わらないと思う。障害があってもそれはその人の個性だ。面接の際に障害があることを申告したほうがよい。採用担当者なら伝わるはず」
目から鱗とはこのことだ。
発声すれば彼女の声が普通と様子が違っていることは誰でもわかる話。しかしあからさまに「その声どうしたの?」と聞かれることはほとんど無い。彼女も敢えて説明をすることは避けていた。彼女の近くに健常者と異なる特徴を見つけても、彼女だってそこには触れない。
以前の記事にも書いた彼女の天敵であるK女子。K女子にもあきらかに他人と異なる点が2つもあった。多分何かの症状なのはわかる。わかるが、彼女はそこに触れたことはない。
前職でも発声障害であることは秘密にしていた。しかし考えて見るとこの声でかなり印象を悪くしていた、損をしていたと思う。苦労だって人並以上だ。
長年勤めた会社を退社するはめになったのも、この声に原因があったと思う。
ゴルファー氏が率直に指摘をしくれたことは本当にうれしかった。思い切って相談してよかった。彼女は心からの感謝を述べてカウンセリングは終了した。
その後は自席に戻り、先ほどのジョブカードを書きながら他の参加メンバーとのおしゃべりに熱中した。なにしろ、背景はそれぞれ異なるが、彼女と同じような悩みを抱えている人たちので話しやすい。
2番手の話が長い男性は、話をしてみると案外きさくで、知識も豊富であることがわかった。人間第一印象だけで判断してはいけない。人間見た目が9割と断言したが、撤回しよう。
退社以来、長い間ずーっと孤独に耐えてきた彼女は、共通の話題を話せる人たちに出会えたことがうれしかった。
長々と書いてきたが、以上が参加前と参加後で印象が180度転換した理由である。
ところで、
実は先週末に応募した派遣のお仕事会社より、電話連絡があった。
Webで事前登録は済ませていたのだが、Web面談はなく電話のみでのインタビューである。
早速、彼女はゴルファー氏のアドバイスに従い、発声障害である旨と聞きづらい点があればご容赦いただきたいと女性担当者に伝えた。
それからこれまでの職務経歴や退職理由など、こまごまとした質問をされたが、彼女は億劫がらず素直に回答をした。
電話の最後に、発声障害の通院の必要性などを聴かれたが、必要なしと回答。
紹介の可否に関わらず、数日中に連絡するとのことで通話は終了した。
いつも通りの展開なので、彼女は不採用の結果を予測し、日課の散歩をこなしながら、今後の進路のことをいろいろと思案した。
帰宅後、これまた日課であるこのブログを書いていた。
すると不意に電話が鳴った。発信者通知を見ると先ほどの派遣会社だ。
応答すると先ほどの女性とは別の男性で営業担当者とのこと。
予想外の連絡の早さに彼女は困惑した。不採用の連絡を当日中にしてくるとは気が早い。
ところが書類選考の結果、彼女は紹介可能とのことだった!!
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
彼女の何がよかったのだろうか。
もしかしたらゴルファー氏のアドバイスが効いたのかもしれない。
もし発声障害の件を申告しなかったら、不採用だったかもしれない。
しかーし
応募しておいてなんだが、派遣の仕事というところにひっかかりを覚えており決心がつかない。
仕事内容も専門性が低い。彼女は専門性が高い仕事のほうが燃える性質だ。
それとは別に実はもう一点気になることがある。
それは先ほど説明をした発声障害だ。
カスタマーサポートの仕事を探しているときは夢中になっていて気づいていなかった。
ひっかかりは感じつつ平気だと思い込んでいた。
が、
やはり声を出し続ける仕事は辛いものがある。ぼんやりと彼女は自覚をしていたのだが、強く意識してこなかった。
特に緊張を強いられるような場面ではなおさら声が出なくなりやすい。
彼女の強みである二次対応は、かなりの緊張が強いられるので、声が枯れやすい。
いくらなんでも、面接で二次対応が得意です!、でも発声障害なので辛いです(汗)では、話が通らない。
カスタマーサポートは電話だけではなく、チャットやメールのみのサポートもあるので、電話以外の仕事を探そうかと思案していたところだった。
3年しか働けない派遣には応募しないと以前書いた。しかし今回の求人は無期転換への期待が持てる派遣会社だった。なので今回は応募をした。
すでに内定は出ているので、応じるかどうかは彼女の意思次第だ。
一応、社内見学は応じるつもりだが、もう少しじっくりと考えて見ようと彼女は思う。
しかし、これまで山の如く不採用結果を積み上げてきたのに、いざ内定が出ると不安になってしまう。彼女の悪い癖だ。
折角、内定をもらえたのだから、彼女は前向きに検討したいと思ってはいる。
ちなみに別件で、先週月曜日に応募した契約社員の件がようやく回答が来た。
案の定書類選考落ちだ。若干期待はしていたが、やっぱりだめだったのは、今となってはどうでもいい話だ。
彼女の悩みは新たなフェーズに突入したのだから。
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